1. 深煎りコーヒーの魅力と難しさ
日本人にとって、深煎りコーヒーは喫茶店文化を筆頭に缶コーヒーからコンビニコーヒーに至るまで、長年親しまれてきた味わいです。美味しい深煎りはしっかりとしたボディ感、香ばしいアロマ、そして心地よい苦味が特徴的で、浅煎りや中煎りと比べると多くの人が「コーヒーらしい味わい」として好む傾向にあります。
しかし、その一方で、深煎りは美味しく淹れるのが非常に難しいという一面もあります。抽出がうまくいかないと、ドリップコーヒーでも過度に濃くなり、ネガティブな苦味や雑味が強調されてしまい、リラックスするには程遠い飲み口になってしまうことがあります。
前提知識として、深煎りの定義というのは実は曖昧です。大まかにはコーヒーの焙煎度合いのことになりますが、焙煎機や手法によって同じ温度で焙煎してもどの程度の「焙煎度合い」になるかは変わってきますので「何度以上、何分以上で焙煎したものを深煎りと呼ぶ」のような定義は難しいです。昨今では焙煎豆の色を数値化する機械も流通が増え、そのカラーチャートを元に焙煎度合いを数値化することもあります(アグトロン値と呼ばれます)が、多くのバリスタや焙煎士の方はまだ知らない状況です。
2. 美味しい深煎りコーヒーとは?
本当に美味しい深煎りコーヒーは、砂糖やミルクを加えなくても、香ばしく、余韻の長いアロマとソフトで滑らかな口当たりを楽しむことができます。浅煎りのコーヒーと比べるとボディー感や苦味が特徴なので、ミルク負けしづらく、カフェラテやカフェオレにも適しているコーヒー豆の種類となります。そういった理由から、コーヒーの抽出技術に自信がない方でミルクビバレッジを作りたい方は、まずは深煎りを選ぶことをおすすめします。
一方でエイジング(焙煎後の保管期間)を取りすぎたり、品質の悪さを誤魔化すために豆を焦がすような手法の深煎りの焙煎をしたコーヒー豆は市場に多く出回っています。同じ深煎りでも全く美味しい苦味やコクのある深煎りではありませんので注意が必要です。
3. 素材選びが成功のカギ
美味しい深煎りを淹れるためには、まず素材選びが非常に重要です。
● 焙煎後のガスの管理
深煎りの豆は焙煎時間が長い傾向にあります。そのため豆の内側にガスが多く閉じ込められます。焙煎直後に抽出するとガスがフレーバーやアロマを阻害して、本来のおいしさを感じ辛くなります。
飲み頃:焙煎後3日目~10日前後が最も味が安定し、深煎り特有の甘さや香ばしさを楽しめるタイミングです。
● 新鮮さも大切
時間が経ちすぎると、浅煎りに比べて焙煎工程で熱エネルギーを多くかけているため、細胞が脆く、風味が抜けやすい傾向にあります。購入時には焙煎日を確認しましょう。
● Natural Processの豆を選ぶ
深煎り豆は産地に関わらず、焙煎由来の苦味が共通して現れます。しかし、よりリラックスできるアロマを感じたいなら、ナチュラルプロセスの豆を選ぶと良いでしょう。ナチュラルプロセスは果実の風味が残りやすく、深煎りでもほのかな甘さや豊かな香りが引き立ちます。
4. 深煎りコーヒーを美味しく淹れるおすすめレシピ
深煎りコーヒーの良い特徴を引き出し、濃すぎず、それでいてボディ感をしっかり感じられる淹れ方をご紹介します。
☕ おすすめレシピ
● 豆とお湯の比率:1:16(豆1gに対してお湯16ml)
1. 例:10gのコーヒー豆に対して160mlのお湯
● 湯温:80~90℃
1. 熱すぎるお湯では苦味が強調されやすいため、やや低めの温度が理想的です。
● 注ぎ方:総量を5分割して注ぐ
1. 少量のお湯で30秒蒸らす
2. 落ち切ったら次のお湯を注ぐ
3. これを5回に分けて繰り返す
● 飲み口のカップ:カップは飲み口が丸い形のものがおすすめ。口当たりが柔らかく、深煎り特有の香ばしさや甘みを感じやすくなります。
5. 深煎りコーヒーで贅沢なリラックスタイムを
深煎りコーヒーは、正しく素材を選び、適切な淹れ方をすることで、香ばしいアロマと滑らかな口当たりを同時に楽しめる、贅沢な一杯に仕上がります。
● 飲み頃:焙煎後3~10日
● 豆選び:ナチュラルプロセスの豆を選ぶ
● 淹れ方:1:16の比率、80~90℃のお湯で丁寧に抽出
こうして淹れた深煎りコーヒーは、日常の忙しさを忘れさせ、穏やかな時間をもたらしてくれます。
深煎り特有の心地よいアロマを感じながら、ゆったりとしたコーヒータイムを楽しんでみてください。あなたの日常に、より豊かなリラックスのひとときが訪れるはずです。
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文:RELAX WORLD 編集部